「亡くなるのを待ち構えているようだから、お通夜では喪服を着ていかない方が良い」と言われることもあります。
ただ、実際のところ喪服で参列される方も多く「どちらが正解なのだろう」「失礼にあたる服装マナーは避けたい」とお悩みの方も多いです。
ここでは一般的なマナーをご案内して参ります。
目次
「取る物もとりあえずはせ参じた」という意味からお通夜は普段着でも良いということはマナー本にも記載されています。
お通夜に礼服で訪れるのは、不祝儀に新札を入れるのと同じように死ぬことを予定して前もって用意していたようでかえって無礼にあたるという意見の方もいらっしゃいます。
ただ、現代は昔とは違い、各自が携帯電話を持ち全国瞬時に訃報が伝わる便利な時代です。
葬儀場で何時からお通夜と事前にお知らせされるため、喪服で行かれるのが当たり前になってきています。
ただし、「お通夜は喪服が常識」と一概に言えないところもあるのです。
首都圏であれば、お通夜に喪服を着て参列される方が多いです。
地方になりますと、平服(場合によっては作業服などのまま)でそのまま故人様と最後のお別れをされるというところもあります。
ベストな方法は、地域のお通夜のしきたりなどを地域にお住まいの方、地域に住んでいる親族様や友人に伺えると良いのですが、むずかしい場合もありますよね。
そういったケースでは、タイミングに応じて服装を決めてください。
女性の場合:できるだけ地味な黒やグレー系のワンピースやセットアップ、スーツなどが良いです。
喪服とは違い少し多少の飾りがあったとしても派手でなければ問題ありません。
スカートの場合、ひざ下からふくらはぎくらいまでの丈が一般的です。
ストッキングについては、黒か、肌色のストッキングもマナー違反にはなりません。
男性の場合:仕事からそのままお通夜に向かわれる方もいらっしゃるでしょう。
通常のお仕事で使われているような紺かグレーのスーツに白い シャツ、黒か紺のズボンでかまいません。
ネクタイだけ黒に変えましょう。ノーネクタイは好まれません。
訃報の知らせからお通夜までに時間がない時(当日など)で、着替えられない、お洋服が用意できない場合は平服で。
知らせから1日以上空くのであれば、喪服の用意もできることと思いますので、喪服を着用しましょう。
基本的には喪服の用意が出来て、平服とどちらにするのか迷われるのであれば、喪服をチョイスしてください。
ただ、大切なのは服装ではなく、故人様をしのび心ばかりのお別れをしたいという貴方の気持ちです。
大きく場違いなお洋服(ものすごく派手だったり、毛皮物だったり、光物だったり)を選ばない限り、あなたの心遣いと気持ちは周りにいらっしゃる方や親族様にもちゃんと伝わります。
堂々と故人様を偲ぶことに集中しましょう。
女性の場合:靴は黒のできれば布製の、飾りのないシンプルな物。ただ、靴に関して布製以外の靴の入手は難しいため、革製であっても良しとされています。
ヒールは3~5㎝あると良いです。
バッグは黒の布製の物を用意しましょう。
男性の場合:
フォーマルなシーンに最もふさわしいのは、つま先に横一文字のラインが入ったストレートチップのデザインかつ、靴紐が内側に向かって通されている内羽根となっている靴。
または、つま先に何も飾りがないプレーントゥの靴です。
ただ用意ができない場合は、黒色・ダークグレー・濃い茶系で、金具や装飾があるもの以外を選択してください。
光沢がない、合成皮革や本革、ポリエステル、布製のものがおすすめです。
男性は会社帰りでもない限り、バッグを持たないことが一般的です。
弔事で持っていくべき3つの小物をご紹介します。
・袱紗(ふくさ)
お香典を包むために必要なアイテムです。受付で袱紗からお香典を出します。
こちらはマナー的にも必須ですので、もし手元にない場合は100均・スーパー・百貨店・ドラッグストアなどで購入しましょう。
紫・紺・深緑・グレーなど寒色系の色の袱紗を選んでください。
紫であれば祝い事でも使えますので、使用の幅が持てます。
・数珠
色形を問わず、自分の宗派のもの(お手持ちのもの)を使用して頂いて構いません。
仕事からそのままお通夜に向かう場合は、お数珠がないこともあるでしょう。
ですが大切なのは、その場に向かい手を合わせる気持ちです。
平服やお数珠なしでの参列に躊躇するのであれば、読経を終えた後の時間帯に訪れるのも選択肢のひとつです。
お数珠を急ぎで調達したいのであれば、百貨店・百円ショップで購入可能です。
・ハンカチ
一般的には白のハンカチが良いとされていますが、派手ではない色で無地のハンカチであれば良しとされています。
白の他には、黒・薄いブルーや薄いピンクなどでも良いです。
・喪服を用意できない・急な場合は平服でも大丈夫
・平服の際は黒・紺・グレーといった落ち着いた色合いの落ち着いた服装が一般的
・地域によっては、仕事着のまま駆けつける、平服そのままで参列する方が多いところも
・用意できる・迷うのであれば喪服が一般的になりつつある
色々なルールや決まりがありますが、大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。
形式だけのお別れほどむなしいものはありません。
お通夜の最低限のマナーや服装を抑えたうえで、最後は気持ちだということをどうぞ忘れないでください。
東京都府中市生まれ。古書店の長男として出生。幼少期より父の勧めで水泳、バスケットボール、ウエイトリフティングを経験しインターハイ出場の経歴をもつ。
結婚を機に埼玉県に移住。学生時代に色々なアルバイトを経験を得て、接客が面白いと感じ、接客を極めようとホテルスタッフを目指す。10年程、念願のホテルスタッフとして従事していたが、身内の不幸があり退職。その時にお手伝いしていただいた葬儀社が東冠であった。
その後、お手伝いいただいた葬祭部の温かさが忘れられず、私ならではの葬儀のお手伝いがしたいと強く葬祭業に興味を持ったところで東冠が偶然、求人募集をしていたので面接。ご縁があり採用となり現在に至る。職場の先輩、ご葬家様より暖かいご支援をいただき、現在8年目を過ごさせていただいております。1級葬祭ディレクター。学生時代に小型ユンボ、玉掛の免許も取得している。